とかげのたからもの

バンドが趣味の育児中会社員です。音楽鑑賞とジョジョとレミゼラブルが好きです。

映画「スリーデイズ」の話

レミゼラブルに頭を奪われてて他のことがなんも手につかない状況を脱したく、意識的に他のエンタメにふれることにした。

昨日はラッセルクロウが出ててアマプラに入ってるという理由で選んだ「スリーデイズ」。

あんまり期待してなかったけどめっちゃ面白かった!

スリーデイズ (吹替版)

 

【これより先は(ネタバレを含むので未見の人は)読んではいけない】

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ストーリーとしては、奥さんが突然無実の罪で収監されてしまったジョンが綿密な計画のもとに脱獄させるというもの。フランス映画のリメイクらしい。

 

1番のポイントが、「奥さんがほんとに無実かどうか分からないままストーリーが進む」という点。

無実だという描写があれば社会派ストーリーになるというか、無実の罪で収監された可哀想な奥さんを救うヒーロー、みたいな図になるけど、そうじゃないのが面白い。ジョンが奥さんを愛してるから、子どもと3人一緒に暮らしたいから、という描写が丁寧に描かれるから、見てる側は「無実かどうか分かんないけどたぶん無実だと信じる」という、ジョンとほぼ同じ気持ちでストーリーに入っていけるわけやね。おもろい。

ちなみにラスト近くで無実だということが示唆される。

 

ジョンは短大の教授でインテリではあるものの普通の市民で特殊能力はなく、むしろちょっぴりお腹の出てきた中年男なわけで、そのジョンが必死に情報収集して策を練って危険な目にも遭いながら奥さんの脱獄計画を立てる、というのが引き込まれた。ラッセルクロウがイケメンだからという理由で見始めたのに、途中からほんとにそこらへんにいる普通のおっさんにしか見えなくなってくるのが良かった。

一般人が犯罪計画を練る、という点で「ナオミとカナコ」という日本のドラマを思い出した。夫のDVに苦しむ親友のカナコを救うために、百貨店の外商をやってるナオミが完全犯罪を計画するという話でこれもめちゃくちゃ面白かった。

違うのは、ナオミはカナコをはじめとして仲間がいるといえばいるというのと、「百貨店の外商」という職業の職権をフル活用したりするというところ。スリーデイズのジョンは誰とも計画を共有できないから完全に孤独だし、職権も別に活かせない。インテリだから考えるのは得意かもしれないけど、文学部の教授っぽいからあんまり脱獄計画が得意そうな分野ではないし。

 

ジョンが丁寧に脱獄計画を練っていたのだが急に奥さんが別の刑務所(遠い)に移送されてしまうことが決まり、それが3日後という。タイトルもこれを指してる。

脱獄にはとにかく金がかかるからまとまった現金を作れというアドバイスを受けてジョンは家を売って、買い手もついていたのだがお金がまだ入ってなくて、3日後までには1ドルも入らないことが分かり、すごく焦るジョン。結局追い詰められて、前に酷い目に遭わされたチンピラの家に押し入って金を奪い、結果的に強盗殺人犯になってしまう。

こう書くとすごい強引な気がするけど、ジョンの心理描写が丁寧だから、うん!もう仕方ない!という気持ちにすらなる。

でもこの事件でいくつか証拠を残してしまい、3日後の脱獄計画の際にジョンに捜査の手が回るのを早めてしまう結果になって、ほんとかわいそうっていうかつらい。

チンピラの家に押し入る前に、銀行強盗も考えるんだけど、銀行の駐車場に車を停めるけどやっぱり無理だ!ってなって帰ろうとするんだけど、動揺してるから背後を確認せずにバックしようとしちゃって、危うくそこにいた親子を轢きそうになり、さらに動揺してへどもどしながら謝る、みたいなシーンがあり、もーこれすごいわかるーと思うなどした。混乱したり焦ったりしてるときって車の運転ほんと危ないよねー。わかる。

 

個人的に感情移入したのは、奥さんが刑務所の中で自殺を図るのだが、引き金になったのは子供で、母親が収監されたことをきっかけに子供がいじめを受けるようになってしまい、それもあって面会に来ても奥さんと目を合わせようとせず、奥さんは深く傷つくという描写があり。自分だったらこれは耐えられんかもな、と思うなどした。つらいよそりゃ…

 

脱獄の際に、元々の計画では子供と3人で海外に高飛びすることになっていたのだが、手違いで子供をピックアップするのが難しいかも、となったときのジョンの葛藤がすごい胸にきた。ジョンは結局1度は子供は諦めて後で呼び寄せよう、と思うのだが、奥さんは絶対にそれは嫌で、ジョンを止めるために車から飛び降りようとする。ジョンはたまげて一度車を停めて、そこで初めて奥さんと2人冷静になることができた、という。

そこからは知恵を使って、子供もピックアップするし捕まらないし、という。まあちょっとご都合主義な点もあったけど、それも気にならないほど勢いがあってよき。

 

ちなみに映像の美しさとかは全然ないし音楽も別に普通だったけど、まあそこはいいかな。

てか思ったのは宣材写真について、イカツいなーということ。

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なんかこれだとハードボイルド映画みたいやけど、もっと家族愛とか、普通の一般市民が慣れない犯罪を練る、てとこに着目した宣材写真であってほしいと思うなどした。

 

そんなこんなで楽しめた映画だった。オススメ!