レミゼラブルは原作と舞台で結構設定とか流れが違う部分があり、というか原作がものすごく長いので省略されてる部分が多い。
原作も一応読了したのだが、訳が古かったり本筋に関係ない話がめちゃくちゃ挿入されてたりするのでなかなかに読みづらくて、ちゃんと覚えてるかと言われると覚えてない部分も多い。
というわけでその原作を下敷きに描かれたマンガを買って読んでみた。
結論から言うととても良かった!絵が綺麗で、舞台にない原作のエピソードも載っているし、かつ原作のえげつないエピソード(マリウスが晩年のバルジャンを精神的に虐待するとことか)は薄めてくれてたりして読みやすい。あーでもジャベたんの心ない発言でファンティーヌがショック死するところはえげつないままだったな。ジャベたんあかんよ…
最終巻で印象に残ったジャベたんを拝借。
ジャベたんの子ども時代
悲惨な生い立ち、そして血を吐く母さん…。犯罪者になるか法の番人になるか選ぶしかなかったジャベたん。
でもジャベたんどうやって警官になったんだろう。警察学校とか行かないとなれないんじゃないの警官って。そんなの行くお金絶対無かったよねぇ。誰かの支援があったのかな。
バリケードにスパイに行くジャベたん
ずっと疑問だった、「ジャベたん結構偉くなったはずなのになんで鉄砲玉みたいなことやらされてるのか」という点について回答が書かれてた。ジャベたんだけじゃなく警察みんなでスパイに入ってたんだね。
苦しめられるジャベたん
そしてバルジャンを「君」と呼ぶジャベたん。原作にもこういうのあった。それまで「貴様」とか「お前」と呼んでたんだけど、バルジャンが善人であることを知ってそんなふうに呼べなくなっちゃうんだよねぇ。原作では「あんたには参ったよ」って文章だった気がする。
バルジャンを馬車で送るジャベたん
これ全く記憶がなくて衝撃を受けたんだが!マリウスを背負ったバルジャンが下水道から出てきて病院に行かせろと言われたバルジャン、舞台版だと「連れて行け!」と苦しげに叫び、映画版だと「動いたら撃つ」とうそぶくけど結局撃てなくてピストルをドブに捨てる、みたいな展開なのだが、まさか原作ではわざわざ馬車で2人を送ってあげていたとは…。しかも下水道から来た2人が馬車に乗ることで馬車のイスが汚れるので、その弁償もジャベたんがしたのだった。
バルジャンを待つジャベたん
ここで待つと言っといて待たずにセーヌ川に身を投げてしまうというのは舞台版も同じなのだけど、こんな馬車の中で落ち着いて言うセリフだったとは。しかも馬車で言うってことは馬車で送るってことだよね。かなり印象の違うシーンだった。
そして究極の選択を迫られるジャベたん
レミゼラブル初見の人が全員「なにも死なんでええやろ」と思うシーン第一位のジャベたんの自殺のシーン。舞台版も25周年版も映画版も、なんか少しずつ解釈が違う感じを受けるけど、マンガ版はまたより一層「だからってなにも死なんでもええやろ」感がすごい。気持ちはわかるけど!
子ども時代の情景が一瞬挟まれてるのがここに効いてきてる印象。自分が生きてていい理由を「非がない人間だから」ってことに求めたことが悲劇。ジャベたん…
そういうわけで最終巻のジャベたんのとこだけ抜粋したけど、他のキャラクターもほんと魅力的に描かれていてすごい良い!エポニーヌとかガブローシュとか生き生きしていた。あとABCの子らもちゃんとキャラ立ちしててよかった。フイイが25周年版の俳優に似てた。
パトロンミネットっていうわけわかんない犯罪集団が出てくるのだが、その中の19歳の冷血漢みたいな奴にバルジャンが説教するシーンとかもあって、なんか群像劇感がより強い。面白かった!
原作読むの挫折した人に特にオススメ!