とかげのたからもの

バンドが趣味の育児中会社員です。音楽鑑賞とジョジョとレミゼラブルが好きです。

レネの話

毎日午前中に筋トレをするのだが、筋トレ中にヒマだと長く感じるのでテレビをつけてみたが、平日の昼間ってほんとなんにも見たい番組がなくて、仕方ないので事前に録画しておくこととした。

でそれを順番に消化しつつ筋トレをしているのだが、昨日すげー番組を見てしまった。

Eテレの「ドキュランドへようこそ」という、海外のテレビ局が作ったドキュメンタリー番組を流すシリーズで、ノルウェーの「セルフポートレート」というドキュメンタリー。

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摂食障害の写真家の半生を追ったドキュメンタリーなのだが、その作品であるセルフポートレートが凄まじくてちょっと怖いほどだった。体に肉が本当に付いてなくて、骨と皮ばかり。「映像の世紀」で見たアウシュビッツの被収容者を思い出してしまった。

それでもレネは精力的に作品を作り、「自殺を考えたことはない。それが私の唯一の誇り」と語る。そんなレネを両親が献身的に支える。

 

なんかもう分かんなくなっちゃって混乱した。両親は肉付きも顔色もいい健康的な見た目で、幼い頃のレネもふっくらした顔をしている。それが10歳の頃から22年間摂食障害になってしまい、骨と皮ばかりの痛々しい姿になっている。

親のインタビューもたびたび差し挟まれるのだが、レネの言葉を借りれば「両親はもう限界」。

両親はカメラの前では笑顔を見せたり、レネとも普通に話すしレネの作品作りをサポートしているのだが、内心はすごい葛藤がある様子だった。

 

摂食障害についての知識がほとんどないので、どうして患者が食べられないのか、根っこのところで理解できてない。そんなに苦しいなら食べればいいのにと思ってしまう。たぶんレネの両親もそうだったと思う。心配で心配で仕方なくて、食べ物を勧めたり無理やり食べさせようとしたり病院に入院させたりしたと思う。でもその全てがレネを苦しめたんだろうなと思う。

 

全然レベル違うけど、私とイチコの歯磨き抗争を連想した。私としてはイチコを虫歯にしたくなくて毎晩イチコの歯磨きをしてるけど、イチコは何が嫌なのか分からんけど逃げ回って泣きわめく。こっちは頭にきて歯ブラシや歯間ブラシを持ってイチコに襲いかかる。なんでおとなしくニコニコして歯磨きさせてくれんのかほんと理解できないし、感謝どころか泣き叫ばれると本当に癪に触る。

でもきっとイチコ的には何かが違うというか、タイミングが違ったりちょっと痛かったり自分でやりたかったりするんだろうなとも思う。

 

イチコはいま3歳だから自分の気持ちをこちらに分かるように説明できないから仕方ない、と思ってガマンしてると思ってたけど、今回レネの両親を見ていて、それは違うんだな〜と思った。子どもが大人になったって、自分でも理解できない感情や病気があって、両親はそれを理解できなくとも受け止めないといけないんだなと思った。

今回は摂食障害だったけど、他の精神疾患や依存症、病気じゃないけどLGBTQ+とかも、自分の理解を超えたり納得できなかったりしても、受け止めるしかないんだな〜と思った。

でも難しいなって思った。歯磨きですらイライラするのに、自分の理解できない病気に立ち向かえるか疑問。

 

レネは最終的に、長年の栄養不足による心不全でこの世を去ってしまった。摂食障害がレネを殺してしまった。それを知った時ガーーンとなって少し泣いた。

これが癌とかならもう仕方ないというか納得できるかもしれんけど、摂食障害で死ぬというのが、誰か何とかしてやれんかったんか、と思ってしまう。両親の気持ちを思うといてもたってもいられない。摂食障害になった10歳の頃にもっとなんとかしてやれれば、と自分を責めたと思う。無理やりにでも点滴打ったりしたらレネはまだ生きてたんじゃないかとか思ってしまう。でもきっとそれは違うんだろうなと思う。レネの体は生かせてもレネの心が死んでしまうんだろうなと思う。難しいわ…。

 

そういうわけで、とりあえず歯磨きの時間を改善しようと思うなどしている。何とか怒らずに1日を終えたい。つら。

 

メルカリでBRUTUSの親子特集を買ってたのでそれも読みたい。

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読みたい本がどんどん積まれててつらい。本に手を当てたら内容がアタマに入る能力とかあればいいのに…。