幼い時分に読んだ本というのは記憶にあざやかに残るものですが、もし一冊だけ 選ぶとすればこの本
ミリー・モリー・マンデーのおはなし (世界傑作童話シリーズ)
- 作者: ジョイス・L.ブリスリー,菊池恭子,上条由美子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1991/09/25
- メディア: 単行本
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ミリー・モリー・マンデーのおはなし
基本的には何も大事件は起きず、服を作ったりジャムを食べたり友達と留守番をしたりするだけの平和な日々が綴られてゆくのだが、これが大変よき。わたしはこの本によってDIY精神を培ったような気がする。
最も好きな話を紹介します。
「ミリー・モリー・マンデー おくりものをもらう」という話。
ミリー・モリー・マンデーの家は仲良しの大家族で、普段からミリー・モリー・マンデーはお使いを頼まれてお駄賃にお菓子をもらったりとかしてるのだが、どうもみんなの様子がヘン。
ジャムを保管している屋根裏の小さな物置を急に掃除し始めたり、「ジャムのびんが気持ちいいと喜ぶから」と物置の壁と天井を桜草色に塗ったり、物置のカーテンを染め直したり、古い鏡の枠や小さなタンスを塗り直したり、タンスの上に置くといってきれいな布に刺繍をしていたり…。ミリー・モリー・マンデーはちょっぴり「ジャムのびんにはもったいなすぎるくらい!」と思ったりしながら、みんなのお使いをしていた。
で、ある日ミリー・モリー・マンデーが学校から帰ってくるとみんながニコニコしながらミリー・モリー・マンデーに「物置からジャムを取ってきて!」と頼む。様子がおかしいな?と思いながらもミリー・モリー・マンデーがジャムを取りに物置に行ってみると、ジャムはもうどこにもなく、そこにはミリー・モリー・マンデーのための寝室ができあがっていた、というお話。
家族の深い愛情と茶目っ気とDIY精神を感じる素敵な話だと思うのです。
部屋をもらって喜ぶミリー・モリー・マンデーに家族が「うちの大事なジャムのびんだものね!」と言ってミリー・モリー・マンデーを食べるフリをする、というのもなんとも粋。
私のフェイバリット絵本のお話でした。