とかげのたからもの

バンドが趣味の育児中会社員です。音楽鑑賞とジョジョとレミゼラブルが好きです。

クィアアイの話

Netflixにて、隙間時間があれば観て、料理をしながら観て、時には睡眠時間を削って観破した「クィア・アイ」。昨日ついに全てのエピソードを観たのでここらで感想を書いておきたい。

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【警告 これより先は(ネタバレを含むので未見の人は)読んではいけない】

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クィアアイはNetflixのオリジナル番組。「ファブ5」という名の陽気な男性ゲイ5人組が依頼人の元へやってきて、それぞれの専門知識を活かして内面も外見も家も素敵に変身する、というのが筋書き。

こう聞くと日本にも同じような変身番組ってあるような気がするけど、それは違う。何が違うのかハッキリわからないけど、私の思うところは、彼ら5人がゲイであることや人種・宗教などでそれぞれ傷ついた過去があったり、それを乗り越えて得た自信を持っているから、他人の痛みや傷を分かってあげられるのが大きいと思う。

あと「変身」というと原型を壊して新しい物が生まれる、みたいなイメージが湧くけどそうではなく、依頼人との対話を大事にして、その人がどうなりたいのか、どこを変えたいのか、なぜ次の一歩を踏み出せないのか、それを踏まえた上で専門知識を活かしてサポートしてあげてるのがすごく良い。例えば服を買うにしても、依頼人の家から通える範囲にあり買える値段帯の店を選び、本人の趣味嗜好を活かしつつも年齢相応であったり、立場上求められる外見についてアドバイスし、服の選び方も教えてあげている。高価な服を買い与えて終わり、とかそういうことじゃないんよな。

あとコーチングを学んでる頭で見ると、5人全員がナチュラルにコーチング的な対話ができてるのがすごくイイ。先述した「自信」というのがコーチング的にいうと「自己基盤」と呼ばれるもので、相手に引きずられたり相手の言動で言うことがブレたりしない状態、というのができてるんだろうなと思う。ついでにいうとコーチング的には自己基盤の次に「コーチングマインド」が必要とされていて、それは「相手の可能性を100%信じる」というもの。信じるといっても、例えば「この人は絶対に試験に受かる」と信じるのではなく「この人は試験に全力を尽くすことができて、受かっても落ちても必ず何かを得ることができる」と信じる、というようなイメージ。このコーチングマインドも全員が持ってる気がする。

さらに、コーチングだけではなく時には強烈にティーチングするのも魅力。「あなたはあなたのままでゴージャスなのよ!」とか「『オレなんか』なんて2度と口にしないでちょうだい!」みたいな感じで、依頼人が自分をけなしたり過剰に謙遜することを絶対許さない。依頼人は最初は面食らったり戸惑ったり、人によっては抵抗感を露わにしたり不安がったりするのだが、次第に5人の言ってることが腑に落ちてきて、自分が今までの人生でやってきたこと、譲れないもの、大事にしたい人、みたいなところに気づき「自分は自分のままで前に進めばいいんだ」と思うようになるのが魅力。その門出を、外見がカッコよくなることや人に振る舞う料理を覚えること、家が居心地良くなることなどのオプションが応援するという仕組み。

書いてるうちに思い出し泣きしそうや。

とりあえずまずはファブ5のメンバーについて思うこと。

 

ジョナサン・ヴァン・ネス

美容担当。いかにもオネエっぽいキャラで、1番陽気で明るくて踊ったり歌ったり抱きついたりするムードメーカー。とぼけた発言をしながらも自分を客観視できてるところがすごくいい。なんか依頼人の元嫁がカボチャクッキーを差し入れしてくれた時に嬉しすぎて絶叫して、うるさすぎてボビーが立ちくらみみたいになったときに即座にフォローしてて笑った。見た目がキリストっぽいことをネタにしている。あと一時期口ひげをカールするのを良しとしていた時期があった。ヒール履きがち。あとインスタで脱ぎがちらしい。

過去が結構壮絶みたい。エイズ陽性らしい…長生きして欲しい。。

 

タン・フランス

ファッション担当。相手に合わせたコーディネートがほんとうまくて、どんな体型でもなんだか素敵に見えてしかもその人らしい、というのがすごい。自分の趣味と相手の趣味の落とし所をきちんと探すのが職人ぽくて良い。服を着た人のほとんどが「このまま着て帰りたい」みたいなことを言う。私もタンに服選んでほしい。

潔癖なとこがあって、農場とかに行くとカラモと共に元気がなくなる。オネエ感あるけど常識人という感じでだいたい落ち着いてる。髪がつぶれると取り乱しがち。

自身が中東系で、中東系の依頼人だと強い共感を示して信頼関係を結んでる。

 

ボビー・パーク

インテリア担当。インテリアの会社を経営してるらしい。なんというか、ザラホームみたいなフランフランみたいなスタイルが得意みたい。わたし的にはもっとシンプルなインテリアが好きで、えーーそのレンガ塗っちゃうの?!とか、この床は前の方が良かったな…とかがたまにあるっちゃあるけど、依頼人は深く満足してるからいいんだと思う。男子の部屋だと壁を黒く塗りがち。ちゃんと相手の趣味とか好きな映画とか聞いてから構想を練ってるのが良い。5人の中で毎回一番ものすごく働いてると思う。1週間とかであんな改装できんの?!という内容が多い。日本が舞台の時に日本人の家の狭さに驚いてて笑った。

ゲイであることが原因で勘当されてホームレスだった時期があるとか、けっこう辛い体験をしてるみたい。教会を訪ねた時に頑なに教会に入りたがらなくて、教会に対する嫌悪感を感じさせたけど、シーズン5の牧師さんの回では教会をリフォームできてた。いろいろ辛かったんだろうなー。。

 

カラモ・ブラウン

カルチャー担当。依頼人の内面を主にフォローする。カラモがいい動きをした回は神回になる率高い。とにかく対話がうまいし、時にはカウンセリングとかセラピーみたいなこともやる。あと依頼人にとって重要な人物に連絡をつけて会わせるみたいなパターンも多くて、依頼人の心に引っかかってたことがなくなって晴れ晴れした表情になってるのを見ると感動しちゃう。

シーズン5とかではすごく落ち着いて貫禄が出てくるけど、最初はけっこうイケイケというかちょっと人を食ったようなとこがあった。アントニと最初はいろいろ誤解があって仲が悪かったらしいけどシーズン2くらいには仲良くなった様子。ゲイだけど息子が2人いてシーズン5だかでカメオ出演していた。ピカピカ光るジャケットを着がち。

 

アントニ・ポロウスキ

料理担当。わりと出番が少なくて、冒頭で冷蔵庫で腐った食べ物を見つけてオエッとなるところと、ちょっとした料理を教えるだけみたいな回もある。本当の専門は心理学らしくて、料理をしながら依頼人やその周囲の人と対話をしたりして信頼関係を結んだりしてる。料理のとき肩にフキンをかけるのを毎回オススメしてて、試しにやってみたらかなり便利なので我が家でも導入した。

イケメンで涙もろく、お坊ちゃん育ちでゲイっぽくないからか他の4人にわりといじられがち。ゲイ文化的なものに馴染めなくて悩んだみたいなことを言ってた。そりゃゲイだからって誰もがパリピじゃないもんねぇ。

 

ここからは好きな回の感想。

 

シーズン5エピソード4

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めちゃ感動した。見た目がいかついけどすごく優しい男の子が依頼人で、上司の白人女性からも厚い信頼を感じさせるシーンもあった。カラモのターンで、愛情もって育ててくれた養母と行き違いがあって、捨てられたと思っていたけどそれは誤解で…というところ、めちゃ泣いた。カラモグッジョブ。服もすごく似合っててセンスよかったし、髪も見違える出来栄え。神回。

 

シーズン4エピソード2
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依頼人が、自分を撃った人間と対峙する時の表情が印象的。これもカラモグッジョブやったな。前向きに生きつつも心の中でずっと疑問だった「なぜ自分は撃たれたのか?」という点が解消されて、それまでより一層前向きになれていて泣けた。不便はあるけど下半身付随になったことで自分の人生は始まったんだ!と笑顔で語る姿にファブ5が感銘を受けていた。

 

シーズン3エピソード4
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陽気でめっちゃ良いステップファザーなのだがとにかく自虐的な冗談を言う依頼人に、カラモが依頼人の発言の録音を本人に聞かせ、自分で自分を傷つけ続けていたことを認識させる。これもカラモ回やなー。依頼人が幼児期に虐待を受けていて、その時の記憶が無意識に自傷させていたという。「周りの誰もそんなこと言ってない。言ってるのはキミだけだ」とカラモが諭し、依頼人が自虐をやめて自分を見つめ直すところ、めちゃ泣いた。

 

シーズン3エピソード5
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境遇の似ているボビーと依頼人が強い信頼関係で結ばれていた。こういうところがクィアアイの良いところ。だいたい5人のうち誰かが依頼人と強く繋がるんよな。家族が欲しいと思っていた依頼人に家族ができて、周囲にいる仲間とのつながりも再認識できて、どんどん自分に自信を持ててるのが分かって、すごく素敵だった。

 

シーズン5エピソード9
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韓国系の小児科医が依頼人。アジア系の依頼人てあんまりいないので新鮮だった。育児を担当する夫と子供の信頼関係に気後れして「入っていけないと感じる」と涙するところが辛くて泣いた。ファッションがガラッと変わって一気に自信をつけた感じがした。タンの本領発揮って感じだった。

 

シーズン1エピソード4
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義母、カミングアウトに驚いただろうけどそれをおくびにも出さず、すぐ「愛してるわ」って言ってて、依頼人が号泣しちゃってた。そのあと、当日参加している友人たちの中に恋人がいるのか尋ねて、その恋人にも愛情深く接してて、なかなかできることじゃないかもしれないけど親としてこうありたいなと思った。

 

シーズン4エピソード1
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ジョナサン回。ジョナサンの母校の高校で恩師が依頼人。ジョナサンが、高校時代にいろいろいじめられたりしたけど、恩師がジョナサンを特別扱いすることなく「普通」でいさせてくれたことに感謝してて、なんか泣いた。ジョナサンと恩師がじっくり話して、先生の髪を切らせて欲しい!ってお願いするジョナサン、あなただったら任せるわと言う恩師、信頼関係に泣いた。いざ髪を切る時、少しセンチメンタルになって「髪の束を取っておきたい。この髪型には本当にお世話になったから…」と涙ぐむ恩師に、ジョナサンがすぐ「結んでから切るね!そしたら取っておきやすいもの!」つって封筒かなんかに入れてあげてて、なんかもう泣けた。切った後の髪型もすっごく似合ってたし、ほんと良い回だった。

 


シーズン3エピソード3・シーズン5エピソード3


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この2話に共通するのが、依頼人の前歯がなくて思うように笑えないことにジョナサンがすぐ気づいて歯医者に連れてくところ。差し歯を入れてもらった依頼人が嬉し泣きをするのを見てもらい泣きした。私も歯が欠けてインプラントになりそうだったとき、マスクしてないと口を開けたくなかったからすごく気持ち分かる。依頼人2人とも、自分の歯の治療なんて後回しだったりどうでもいいと思って生きてきたけど、いざ歯が入ると、これまでいかに自分を大切にしてあげてなかったか気づいて、泣くんよね。泣けるわ。

 

 

まあこんな感じ。

なんかすごく影響を受けたなって思う。せっかくコーチング学んでるんだし、こういうことが私もしたいって思う。

クィアアイ本当にオススメなので、期間限定でNetflixに入ってぜひ見てほしい。ぜひぜひ!