とかげのたからもの

バンドが趣味の育児中会社員です。音楽鑑賞とジョジョとレミゼラブルが好きです。

映画「ある少年の告白」の話

感想書くの忘れてた。「チョコレートドーナツ」のあとに観て、2作続けて同性愛がテーマになった映画を観ることになったのでした。

ある少年の告白 (字幕版)



【これより先は(ネタバレを含むので未見の人は)読んではいけない】

f:id:takki_bear:20200627140916j:image

 

ラッセルクロウは主人公の少年の父親役。職業が牧師ということもあって主人公がゲイであることを受け入れられず、牧師の長老的な人のアドバイスにより「同性愛者矯正施設」に主人公を入れる。

この施設のリアルに嫌な感じがうまかったね…でも入れられっぱなしというわけではなく9時に来て17時には帰るという。家族に助けを求めようと思えば求められるのが意外だった。

主人公役の子はイケメンすぎなくて、リアルに悩む青年感があってとても良かった。施設の中で知り合う男の子たちもそれぞれ個性があって良かった。気の強い黒髪の男子がグラディエーターの時のラッセルクロウに似てた。

f:id:takki_bear:20200627175923j:image

f:id:takki_bear:20200627175929j:image

今回の映画のラッセルクロウはもうお腹ぷよぷよでした。役作りということにしとく。

 

少年の母親役がニコールキッドマンなのだが、ニコールキッドマンが母親役って合わなくね?と思ってたけど、蓋を開けてみたらむしろすごい良かった。牧歌的な母親像では全然ないんだけど、美人で服が派手で明るくて、息子をまっすぐ愛する母親という感じがとても合っていた。

ラッセルクロウも、同性愛の件がなければ思いやりがあって優しい信心深い父親という感じ。息子がゲイであることを受け入れられないばかりか、自分の対応(施設に入れる・施設を辞めたいと訴える息子をたしなめて施設に戻す)が息子を深く傷つけてしまったことも受け止められない弱さがよく出てたね。かといって息子を愛してないわけでは全然ないんだよね。主人公だって父親のことが嫌いとか憎んでるわけじゃないのに絶望的にすれ違ってしまって。切ない。

最後の親子の別れのシーン、自分の弱い面を受け入れられずに、虚勢にも見える態度を取る父親に息子が真っ正面から自分の想いをぶつけるところ、ラッセル泣いちゃうんじゃないかと思うほど動揺しておったね。なんかもちろん息子の気持ちにめっちゃ共感するのだが親父も別に息子が憎いわけでは全然なくて、どうしたからいいのか全然わからないんだよねきっと。って思った。

 

この映画観ながらママ友とLINEして、子どもたちが自分の常識を遥かに超える告白をしてきたら我らは受け入れられるか?という話題で議論した。同性愛だって現代ではかなり理解も進んできてると思うけど、少し前だと映画の中のように「変態」「病気」と揶揄される存在だったわけだし。たぶん同性愛だったら私はわりと受け入れられる気がするけど、今の自分が想像もつかないことを言われたらラッセルみたいにじたばたしちゃうのだろうなと思った。

ママ友とのLINEの結論としては、自分が社会にちゃんとアンテナを張って色んなことを知るってことと、「自分が知らないことは世界にものすごくたくさんある」ということを常に思っておくってことをすれば、子どもたちの人生を後押ししてあげられる土台ができるのではないかというところに落ち着いた。

この映画観てて、「知らないこと」より「偏見を持ってる」ことの方が悪いと思ってたけど、その2つはほぼイコールなのだな、と思った。

「チョコレートドーナツ」でもそうだったけど、「知らない」ということそのものが、人間に恐れや侮蔑を植え付けるのだなと思った。いろんなこと知らないとダメだね…。

 

映画のラストシーンは、永遠の別れを告げる息子に対し、父親が「理解するよう努力する(からまた会いたい)」と告げ、息子がそれを受け入れる(クリスマスパーティに招く)という、希望のある結末だった。希望があるしかなりリアルというか現実的だなと思った。

すべてが好転して何もかも解決!ハッピー!なんてことには普通ならなくて、小さな譲歩と気遣いの積み重ねなんだよねきっと。と思った。

 

いい映画でした。