とかげのたからもの

バンドが趣味の育児中会社員です。音楽鑑賞とジョジョとレミゼラブルが好きです。

映画「マスターアンドコマンダー」の話

ラッセルクロウの代表作を観破する月間、今日はマスターアンドコマンダー

マスター・アンド・コマンダー (字幕版)

 

 

【これより先は(ネタバレを含むので未見の人は)読んではいけない】

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なかなか面白かった!1800年イギリス海軍がフランスの私掠船を追う話。

1800年代ってことはレミゼラブルと同じ時代ということで、衣装とか船とかがレミゼラブル感あった。レミゼラブルで気になった「ナポレオン帽子のタテヨコ問題」もやはり存在して、艦長が横かぶりで部下はタテかぶりしてたりした。自由なんだねきっと。横かぶりだと前方からの風に弱いって話もあったけど、風にめっちゃ煽られる船の上でも艦長は平気な顔で横かぶりだった。

 

船医で艦長の親友役のポールベタニーがすごい良かったなぁ。どっかで見たと思ったら、ビューティフルマインドで主人公の親友(的な概念)の役をやってた人だった。ラッセルクロウとポールベタニーはビューティフルマインドのコンビということか。

ラッセルクロウはまたいちだんとムチムチしてたけどたくましい感じはして良かったかな。あとポイントとしては金髪ロン毛だった。なるほど。レミゼラブルでは短髪だったけど、ジャベールって一般的にというか舞台的にはロン毛のイメージが強い人が多いみたいなので、マスターアンドコマンダーラッセルクロウでイメージ補完してほしい。

軍艦を捕鯨船に見せかけて目標の船を誘い込むシーンで、軍服着てるとバレちゃうから捕鯨船っぽい格好をするシーンで髪をほどいてて、適度に粗暴な感じが良かったね。でも戦闘前は変装してたのに戦闘中に気づいたら軍服に戻ってて髪も結んでて、いつのまにお召し替えを?ってなった。

あと艦長含めた軍艦の幹部たちが夕飯の時とかに飲んでふざける感じがサラリーマン同士の飲み会のテンションでちょとウケた。テーブルに虫がいて「強い敵はムシしろ!」つって何が面白いのか知らんけどおっさんたちがケラケラケラケラ笑ってるのが微笑ましかった。

ていうか全体的にほぼ男しか出てこなくてたまげた。一瞬だけ島の女の子?娼婦?がチラッと出てきたけどセリフすらなかったからね。男臭い映画!

 

あとラッセルクロウとポールベタニーがバイオリンとチェロを弾くシーンがちょいちょい出てくるのだが、ふざけてギターみたいに楽器を抱えて弾き始めるとこがあって、ちょっとグッときた。友情って感じした。

 

あと少年士官候補生たちが戦闘シーンで、声変わり前の声を張り上げて指揮をとるシーンがあり、声が甲高いわりにハリがあり、すごくよかった。シビれた。でもあの子は戦闘で右手を失っちゃったからきっと士官にはなれないのかな…学者に憧れてたから、そっちの道で大成してほしいね。

てか少年士官候補生たち、極端に子どもというか10歳くらいに見える子どもたちで、ちょっと調べてみたら、ほんとは14歳だか以上じゃないと士官候補生にはなれないのに、みんな少しでも早く士官候補生になりたがって年齢をごまかしてまで入隊志願したみたいな史実があるらしい。ほーん。

 

最後の方でグッときたのが、戦闘で死んだ仲間を弔うシーンで、それぞれ名前と所属を読み上げるところ。死んだ人と同じ部署っぽい同僚が映される。自分だって今日死ぬか明日死ぬか分からないけど、今日まで一緒に仕事をしていた仲間が死ぬというのはやはり悲しいのだろうなと思わされた。

映画全体通して、どの人たちがなんの役割とかっていう説明がほとんど無くて、服装でなんとなく「海軍(エリート・偉い人)」「水兵(ノンキャリ・荒くれ者)」くらいの違いしか分からなかったんだけど、このシーンで水兵の中にもいろんな役割があって、よく見ると確かに服装も少しずつ違ったりすることにこのシーンで気付いたのだった。

 

あとつらかったのは、気の弱い士官が水兵の荒くれ者たちにちょっとしたことで嫌われちゃって、完全に舐められていじめられちゃうんだけど、タイミング悪く日照りが続いたりして「悪いことは全部あいつが呪われてるせい」みたいになってきちゃって、結局追い詰められた士官は自殺してしまう。衝撃的だった…。

でもこういうことって現代でもあるなぁと思った。なんか悪い流れの時って弱い者が血祭りにあげられるよねぇ。人の本能なのか。

 

ラストシーンの意味がわかんなくてググってそれ読んでやっと、あ!そういうことか!!となった。一生懸命見てたのに全然洞察力ない。

でそのラストは意味がわかればすごく良かった。艦長の知恵とみんなの勇猛果敢な戦いぶりで敵を倒した!あっぱれ!で終わるのかと思いきや、艦長が詰めが甘くて敵に騙されたことに気付いてアッ!ってなって慌てて引き返し、敵艦に「待てー!」ってなるというラスト。こういうの良いな。きっとこの人たちは引退するまでこういう騙し合い潰し合いを続けるのだろうなという感じがした。

でもレミゼラブルと同時代の話と考えると、レミゼラブルに出てくる市民たちが「人生は戦い、援軍は来ない、仕事なければ即死」みたいな人生を送ってることを考えると、明日死ぬかもしれないという点では同じでも、楽しさというかやりがいみたいなとこではこっちの方が楽しそう。

 

まあそんな感じでなかなか楽しめた。ラッセルクロウというきっかけがあってはじめて観たけど、普段なら全然アンテナに引っかかってこない種類の映画だったから新鮮だった!食わず嫌いは良くないねー。たまにはこういうのもいいなと思いました。